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小児矯正は何歳から?生え変わり期の開始時期と7歳までの初診目安

小児矯正は何歳から?生え変わり期の開始時期と7歳までの初診目安

生え変わりが始まったら、まず知っておきたい開始時期の考え方


下の前歯が抜けて、生えてきた永久歯が少し傾いている——そんな変化に気づくと、今すぐ相談すべきか、学校健診まで待つべきかと迷うものです。「7歳までに一度相談を」と耳にして、戸惑いを覚える保護者の方もいらっしゃいます。この記事では、小児矯正の開始時期の目安、第1期治療と第2期治療の違い、早めの初診相談が持つ意味を整理しました。相談することと治療を始めることは、必ずしも同じタイミングではありません。判断の材料としてお役立てください。


この記事の要点まとめ


  • 小児矯正は6〜9歳頃の第1期と10〜12歳以降の第2期に分かれ、成長段階に応じた検討が行われる
  • 7歳前後の初診相談はすぐの治療開始を意味せず、経過観察となる場合が多い
  • 受け口・出っ歯・叢生や指しゃぶりなどの習慣は、早めの相談で状態把握につながることがある

目次



小児矯正の開始時期は何歳から?生え変わり期に始める目安と治療段階

小児矯正の開始時期は何歳から?生え変わり期に始める目安と治療段階

小児矯正は、成人の矯正治療とは前提そのものが異なります。成長途中の顎の骨に働きかけられる時期があるため、治療を2つの段階に分けて考えるのが一般的です3。


乳歯と永久歯が混ざる6〜9歳頃に行う第1期治療の役割


乳歯と永久歯が入り混じる時期を混合歯列期と呼びます。第1期治療は、この6〜9歳頃を目安に、顎の骨の成長を利用して永久歯が並ぶスペースの土台を整えることを主な目的とします4。


歯を一本ずつ動かして並べるというより、上下の顎のバランスを誘導したり、狭くなっている歯列の幅にアプローチしたり、という考え方に近いでしょう。取り外し式の装置を用いるケースも多く、就寝中を中心に使う方法が選ばれることもあります。


この時期に土台を整えておくと、その後の永久歯の生え方に良い条件をつくれる可能性があります。とはいえ、すべてのお子様に第1期治療が必要というわけではありません。骨格的な傾向が小さい場合には、生え変わりを見守りながら適した時期を待つ、という判断もあり得ます3。


永久歯が生え揃う10〜12歳以降に進める第2期治療との違い


永久歯がほぼ生え揃う10〜12歳頃からが第2期治療の対象時期にあたります。こちらは成人の矯正治療に近く、ブラケットやマウスピース型装置を使って、一本ずつの歯の位置や噛み合わせを整えていきます4。


第1期治療で土台が整っていた場合、第2期治療の期間や難度が軽くなることもあります。ただ、第1期治療を行えば第2期治療が不要になる、と言い切れるものではありません。ここは事前に確認しておきたいところです。


さらに、動かした歯の位置を落ち着かせる保定期間も治療計画の一部です。装置を外して終わりではなく、後戻りを抑えるための期間が続きます。費用や通院の見通しと合わせて把握しておくと、無理のない計画を立てやすくなるでしょう。


男女による骨の成長速度の違いと治療計画への影響


開始時期は、暦の年齢だけで決まるものではありません。身長が急に伸びる成長スパートの時期には、顎の骨も大きく変化します。一般に女児は男児より1〜2年ほど早く成長スパートを迎える傾向があり、同じ7歳でも発育段階が異なることは珍しくありません1。


そのため歯科医院では、レントゲンによる骨の成熟度、永久歯の萌出状況、身長の伸び方などを総合的に見ながら開始時期を検討します。「上の子が9歳で始めたから下の子も同じ」とはいかない、というのが実際のところです。


日本矯正歯科学会が「7歳までの初診相談」を推奨する理由


「7歳までに一度相談を」という話を耳にした方も多いはずです。この背景には、専門的な視点から早めに状態を把握しておく意義があります4。


「相談時期」と「治療開始時期」は別であるというよくある誤解


もっとも誤解されやすいのが、相談=すぐに装置を装着する、というわけではないという点でしょう。7歳前後で受診しても、その場で治療がスタートするケースばかりではありません。


実際には「今は経過を見守り、○歳頃に改めて評価しましょう」という判断になることも多くあります。生え変わりを定期的に記録し、動き出すべきタイミングを見逃さないための観察期間、という位置づけです4。


6歳のお子様に無理な治療を強いることにならないか、と気がかりな保護者の方もいらっしゃいます。まずは現状を知ることが相談の目的だと捉えていただければ、心理的なハードルは少し下がるのではないでしょうか。焦って始めることも、根拠なく先延ばしにすることも避けたい——そのための情報収集が初診相談です。


早期相談がもたらす顎の成長誘導と将来の抜歯リスク軽減


早い段階で骨格的な傾向をつかめると、成長を利用したアプローチという選択肢を検討できます。顎の幅や前後関係に働きかけられる時期は限られているため、その時期を把握しておくこと自体に価値があるわけです4。


また、歯が並ぶスペースを早めに確保する方向で計画を立てられれば、将来的に永久歯を抜かずに進められる可能性が広がる場合もあります。ただしこれは症状や骨格によって大きく異なり、すべてのケースで抜歯を回避できるとお約束できるものではありません。


そして噛み合わせの偏りは、むし歯や歯肉の炎症のリスク、口腔機能の発達にも関わってきます。お口の健康を長期的に守るという視点からも、早めの把握には意味があります1。


デジタル機器を活用した咬合・骨格チェックの重要性


開始時期を見極めるには、主観ではなく客観的な記録が欠かせません。歯科用CTによる立体的な骨格の把握、口腔内スキャナーによる歯列データの記録などを組み合わせることで、変化を経時的に見比べやすくなります2。


当院では歯科用CTや口腔内スキャナー(トリオス5)を導入しており、粘土のような材料を使わない型取りにも対応しています。嘔吐反射が出やすいお子様の負担軽減にもつながる方法です。加えて、当院は治療の前後に必ず口腔内写真を撮影し、その画像を診察室のモニターでお見せしながら状態をご説明することを大切にしています。保護者の方にも変化を目で確かめていただきながら、判断を一緒に考えていく進め方です。


早期受診を検討すべきお子様の歯並びサインと判断基準

早期受診を検討すべきお子様の歯並びサインと判断基準

日常の中で保護者の方が気づきやすいサインが、いくつかあります。当てはまるものがあれば、年齢にかかわらず一度確認しておくと見通しが立てやすくなります3。


受け口(反対咬合)や出っ歯(上顎前突)への早期介入基準


下の前歯が上の前歯より前に出ている状態を受け口(下顎前突)といいます。骨格の成長方向に関わるため、低年齢の段階から相談が検討されることの多い状態です3。3〜4歳頃でも、噛み合わせの逆転がはっきりしているようなら、一度確認しておく意味はあるでしょう。


一方、上の前歯が強く前方に傾いている出っ歯(上顎前突)には、転倒時に前歯をぶつけやすいという側面もあります。受け口・出っ歯のいずれも、成長の方向性が定まる前に状態を把握しておくことが判断の幅を広げます4。


ただし、乳歯の段階での軽度な傾きは、生え変わりに伴って変化することもあります。介入するか経過を見るかは、診査に基づいた判断が前提になります。


前歯のガタガタ(叢生)や生え変わりの遅れに潜む要因


永久歯は乳歯より一回り大きいため、顎の幅が足りないと重なって生えてきます。これが叢生です。生えてきた下の前歯が少し傾いている、隣同士が重なっている——こうした気づきは、スペース不足のサインである場合があります3。


また、乳歯がなかなか抜けず永久歯が別の位置から出てくる、左右で生え変わりの時期が大きくずれている、といったケースにも注意が必要です。永久歯そのものが生まれつき欠けている(先天性欠如)、あるいは埋まったまま出てこられない状態が背景にあることもあり、レントゲンでの確認が判断材料になります。


指しゃぶりや口呼吸などの悪習癖が顎の発育に与える影響


歯並びは、日々の口まわりの使い方からも影響を受けます。長く続く指しゃぶり、舌で前歯を押す癖、いつも口が開いている口呼吸、片側だけで噛む習慣。これらは顎の発育や歯の位置に関わる要素として知られています1。


こうした習癖については、装置を使う前段階として、生活の中での改善に取り組めることもあります。鼻づまりが背景にある場合は耳鼻いんこう科との連携が必要になるケースもあり、お口だけを見て判断しない姿勢が求められます3。装置よりも先に、呼吸や飲み込み方といった口腔機能を整える視点を持つことが土台になります。


初診相談の流れと通院・費用に関して保護者が知っておくべきこと


実際に相談へ行くと何をするのか、費用や通院はどのくらいかかるのか。あらかじめ知っておくと、予約のハードルはぐっと下がります。


初診相談から検査・治療計画決定までの大まかなステップ


一般的な流れは、問診・視診による現状把握から始まります。気になっている点や生活習慣、既往歴などをうかがったうえで、口腔内を確認します。そこで必要と判断されれば、レントゲン、口腔内写真、歯型のデータ取得といった精密検査へ進む流れです4。


検査結果がそろったら、別日に治療計画をご説明するのが一般的でしょう。その場で治療を即決していただく必要はなく、ご家庭で検討する時間を取っていただいて構いません。当院でも、資料をお見せしながら選択肢とそれぞれの考え方を整理し、ご家族が納得されたうえで進めることを基本としています。


通院頻度は治療段階によって変わりますが、経過観察期であれば数ヶ月に一度というケースもあります。送迎の負担が気になる方は、想定される通院間隔を相談の場で確認しておくとよいでしょう。


小児矯正の費用目安と医療費控除の対象となる条件


矯正治療は原則として自由診療のため、費用は医院ごとに設定されます。第1期治療と第2期治療を分けて設定する方式、総額を提示する方式など、体系はさまざまです。段階ごとの金額だけでなく、装置の調整料・保定装置の費用・保定期間中の観察料まで含めた総額の見通しを確認しておくことが、後々の計画を立てるうえで役立ちます。


費用面でもうひとつ押さえておきたいのが医療費控除です。発育段階にあるお子様の噛み合わせの改善を目的とした矯正治療は、医療費控除の対象として認められる場合があります。生計を共にするご家族の医療費を合算でき、1年間で10万円を超える部分が所得控除の対象です。適用条件の詳細は国税庁の案内をご確認ください1。


なお当院では、保険診療を含めてすべてのお会計にクレジットカードをご利用いただけます。


装着ストレスへの配慮とお子様のモチベーションを支える親の関わり方


装置を使い始めた当初は、違和感や話しにくさを訴えるお子様も少なくありません。ここで大きな支えになるのが、保護者の協力です。頑張れているところを具体的に認める声かけ、装置の使用時間をカレンダーで一緒に確かめる習慣。そんな小さな積み重ねが継続を後押しします3。


また、装置の周囲は汚れがたまりやすく、むし歯のリスクも上がります。仕上げ磨きやフッ化物の活用、定期的なクリーニングを組み合わせた口腔ケアを、治療とセットで考えていきましょう。


当院には保育士が常駐する託児棟があり、生後6ヵ月からお預かりが可能です。下のお子様を連れての通院が難しいと感じている方にもご利用いただけます。院長は日本小児歯科学会に所属しており、無料の矯正相談も行っておりますので、判断に迷われている段階でもお気軽にご相談ください。


よくある質問


Q1. 小児矯正の第1期治療はいつ頃行いますか?


A. 乳歯と永久歯が混在する混合歯列期、おおむね6〜9歳頃が一つの目安とされています。ただし暦の年齢だけで決まるものではなく、永久歯の生え方や顎の成長段階によって個人差があります。同じ年齢でも判断が分かれることは珍しくありませんので、実際の状態を診たうえでの検討になります。


Q2. 受け口は2歳でも矯正できますか?


A. 2歳前後であれば、まずは経過を見守りながら、噛み方や口まわりの癖を整えるアプローチから検討するのが一般的です。装置を用いる方法は、お子様が指示を理解して協力できる年齢になってから検討するケースが多くなります。気がかりであれば、低年齢のうちに一度状態を確認しておくと、その後の見通しが立てやすくなるでしょう。


Q3. 歯列矯正は小学4年生からでもできますか?


A. 小学4年生(9〜10歳頃)は、第1期治療の後半から第2期治療への移行期にあたることが多い時期です。永久歯の生え揃い具合によって、どちらの段階からアプローチするかが変わってきます。この年齢から相談を始める方も多く、遅すぎるということはありません。


Q4. 小学3年生で歯科矯正は可能ですか?


A. 8〜9歳頃は、顎の成長を利用したアプローチを検討しやすい時期の一つです。前歯の生え変わりが進み、歯列全体の状態が見えやすくなるため、治療計画を立てやすいタイミングでもあります。まずは検査で現状を把握するところから始めるとよいでしょう。


Q5. 引っ越しの予定がある場合、治療を始めても問題ありませんか?


A. 転居の可能性がある場合は、その旨を相談時にお伝えください。治療段階によっては、転居後に転医する前提で計画を組む、区切りのよい時期まで開始を調整するといった選択肢があります。検査資料や治療経過は転医先へ引き継げますので、事前にご相談いただければ対応を検討できます。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/

3. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/

4. 日本矯正歯科学会 https://www.jos-jpn.org/


丸田 忠勝

歯科医師


にじの森歯科クリニック

院長

丸田 忠勝

▶ 監修者プロフィール

経歴
・熊本県山鹿市出身。真和中学校・高校を卒業。九州大学歯学部を卒業。
・九州大学付属病院にて研修修了。歯周病治療、インプラント治療(再生歯科・インプラントセンター)、口腔外科、全身管理を中心に研修。
・九州大学付属病院歯周病科勤務。歯周病治療、歯内治療を外科処置を中心に行う。ボランティア団体「ふりーでんす福岡」に所属し、国内ボランティア検診やドイツ国際平和村にて活動。
・東京歯科大学元教授・日本顕微鏡歯科学会指導医の中川貫一先生に師事し、歯内治療およびマイクロスコープ治療を研修。
・2013年9月より、にじの森歯科クリニック開業。精密歯科治療、インプラント治療、矯正治療を中心に診療。
資格・所属学会
・日本歯周病学会
・日本口腔インプラント学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本小児歯科学会
・日本糖尿病協会 登録歯科医
・Pacific Endodontic Research Foundation Japan 熊本・福岡
・日本歯科医師会
・熊本県歯科医師会
・菊池郡市歯科医師会 公衆衛生理事
・熊本県歯科医師スタディグループ新樹会 第45代議長
・菊陽町嘱託歯科医師
・武蔵ヶ丘北小学校学校歯科医師