咬めることの大切さ
ご紹介で来院された90歳手前の方です。
奥歯が1カ所しか咬み合っておらず、その残り1カ所も、歯周病と咬み合わせの負担過重でグラッグラでした。
ただでさえ咬めない上に痛みもあり、早急な処置が必要でした。
写真が術前です。
前歯が気になる所ですが、真の問題は奥歯です。
一見、ちゃんと歯があるように見えますが、ほとんどが歯周病でグラグラだったり、裏側が割れていたり、歯根が破折しています。
治療へのご希望は次のとおりでした。
・固いものを食べられるようになりたい。
・前歯がみっともないのを治したい。
・入れ歯は避けたい。
まずは食事ができるようにならないと体がどんどん弱っていきますので、明らかに保存不可能な歯を抜歯し、どんどん仮歯に置き換えました。
咬み合わせを完全に喪失されていたので、関節と筋肉のバランスからそれらしき咬み合わせの位置を仮に設定しました。
仮歯になった時点で表情が明るくなられ、明らかに血色が良くなりました。
話し声が大きくなり、杖はつかれているものの、足に力が入っているのが分かりました。
仮歯から本歯に交換する途中で、
「治療を始めてから大好きだった固いものがまた食べられるようになった。」
「以前から3kgも体重が増えた。」
とおっしゃいました。
奥歯でしっかり噛めるようになりました。
まだ歯ぐきが腫れている部分があったり、虫歯が残っていますが、まずは咬めるようになることを優先しました。
ブリッジで咬み合わせを再構成でき、前歯も改善したので、ご本人も口元に自信が出たとおっしゃっています。
ただ、今後は歯ぐきの腫れている部分からトラブルが必ず起こってくると思われますので、虫歯治療を終わらせてから定期検診でしっかりとフォローしていく必要があります。
全て保険治療で行い、ここまでの治療期間は3ヶ月ちょっとでした。