あきらめも肝心!抜かなきゃいけない時もある…(セカンドオピニオン)

セカンドオピニオンでご来院の患者さんです。

紹介元の歯科医院は、ちゃんとしていると聞いているところでした。

「腫れはあるが痛みはない。歯の根の再治療をしても膿が止まらないので、歯を分割するヘミセクションをしてブリッジにするしかないと言われた。」

「自分なりに治療についてたくさん調べたが、今受けている治療は最近主流の◯◯ではないので、不適切ではないか。」

「にじの森歯科クリニックでは、最新の◯◯のやりかたで治療されますよね?そうすれば治ると思うんです。」

「治療を始めて数回してから、突然歯が割れているかもしれないと言われたが、おかしいのではないか?」

というニュアンスのことをおっしゃりました。

うーん。

うーん。。

専門的に言い換えると、

「私がインターネットで調べてわかったのですが、前の先生がやっていたファイルによる機械的清掃は非常に古い治療法で不適切です。最新の(?)化学洗浄による根管清掃を行えば治ると思います。あと、後出しで割れてるかもとか言われて不信感が増した。」

というふうに(私が聞いた限りでは)理解しました。

特に否定も肯定もせず、じっっっっっっっっっっっくりとお話を伺いました。

何度も話が脱線し、別の歯の話題になるのを修正しつつ、わかったこと。

患者さんの本当の不満点は、

「前に治療してくれた先生はあまり説明がなかった。」

「自分の治療に集中してくれてなかった(ように感じた)ので、もっと治る可能性があると思う」

「ブリッジが(なんとなく)長持ちしないと思うので、不安だ。」

突き詰めると、

「前の先生がちゃんとしてくれてないように感じて(いまいち信頼しきれないので)不安なので、マイクロスコープと最新の根管治療方法で治してほしい、自費治療でもいいから。あとブリッジはなんとなく不安。」

ということのようでした。

紹介状には「割れてるかもです」的なことが書いてありました。

レントゲンを見ると、なんかダメそう。

とりあえず、お口の中診させてくださいね。

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外側にヒビ…(汗)

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虫歯の取り残しはいただけない、減点。

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がっつり割れとる、無理!!

ヘミセクションとは、歯の根っこが複数ある場合、保存不可能な根のみ分割抜歯して、部分的に残す外科処置です。

今回は前医の先生の診断が間違ってはいないことをお伝えしました。

治療方法はヘミセクション+ブリッジのみならず、インプラントも視野に入れて説明しました。

だって、歯が割れた原因(大きなちから)を考えると、更に条件の悪くなるブリッジの将来って不安じゃないですか?

患者さん的には、

「インプラントは全く考えていない。長持ちしない可能性があると聞いていますので。」

とのことでした。

私のインプラント成功率が今後もずっと100%とは保証できないので、特に反論することはしません。

ただ、今回のヘミセクション後のブリッジの方がリスクが高く、おそらく数年でトラブルが起こりますので、それまでは利用しましょうか、という妥協的な治療計画をご提案しました。

前医の先生がしっかりされている(この言い方も結構失礼で、明らかに私より格上の先生の病院ですが・・・)ので、前医での治療継続をおすすめして終了しました。

しかし、受付にて当院での治療を希望されました…

今回の症例から得られる教訓はありますでしょうか。

・信頼関係構築の失敗から、患者さんが大きな不安を抱いてしまった。

 →本ケースの根本的な原因と思われます。

・不安からネットで沢山の情報を仕入れるも、消化不良でますます疑心暗鬼になった。

 →とても多いパターンです。これはセカンドオピニオン先の先生にとっても問題を難しくします。

・結果、前医の診断は正しくても受け入れられず、小一時間かけてにじの森歯科クリニックを受信した。

 →当院の診断でも納得出来ない場合、ドクターショッピングが始まる可能性があります。

・当院では同じ診断にもかかわらず、比較的あっさりと受け入れられた。

 →説明のしかた、ドクターとの相性、などの問題かもしれません。

・治療方法については心理的な思い込みが障害になり、受け入れられないオプションがあった。

 →これも多いパターンです。理屈が無視され、心理的足かせが将来有益な選択を阻害しています。

・通院に不便にもかかわらず、にじの森歯科クリニックでの治療を希望された。

 →患者さんにとっては地理的に不利な選択です。ご自宅周辺にも私より優秀な先生がたくさんいらっしゃいます。

現在セカンドオピニオンで当院に来院される患者さんは週に2〜3人くらいです。

だいたいこういうことを考えながら診療しています。

前医よりも改善できることもあれば、今回のようになることもあります。

ただし、どんなときでも、私にできる限り公正で理屈に基づいた診断をストーリー仕立てで説明しています。

なので、専門家の意見としてある程度素直にお聞き入れいただけるとうれしいな、と。

さらなるサードオピニオンをご希望の場合には、然るべき医院をご紹介することもできますよ。