心身症ではないかとまで言われた痛みの原因を探る

若い女性の患者さんです。

下顎の左右奥歯が以前から痛みを感じていたのですが、
3つの歯科医院をまわって、すべて異常なしと診断されたそうです。

最終的に親知らずが悪いと言われ、口腔外科へ紹介されました。

口腔外科でCT撮影をしたものの、やはり異常はないとの診断。

痛い思いをして親知らずを抜歯するも、痛みは改善せず

最終的に、
「なにか精神的な問題ではないでしょうか?」
と言われたそうです。

今回、別の歯がかけたことをきっかけに、当院を受診されました。

何度も書きましたが、
「患者さんが痛いということはウソではない」
と思います。

”異常なし”という診断には疑ってかかります。

診察室に入って来られてから問診まで、”精神的な問題”を匂わせる言動も特にみられません。

さらに”数件の歯科医院と口腔外科で異常なしと診断”され、CTまで撮影していることから、通常の虫歯や歯周病の可能性は低いでしょう。

こうなると、疑う病名は少ししかないように思われます。

お口の内外、咬み合わせの状態、レントゲン所見から「不正咬合とパラファンクションによる咬合性外傷と顎関節症1+2型」と診断しました。

詳しい説明は省きますが、患者さんの痛みは間違いなく歯科疾患が原因です。

”精神的な問題”ではなく、”機能的な問題”です。

原因と今後の対策をご説明さし上げると、

「いままでどの歯医者でも何もない、気のせいではないのかと言われてきた。もう行く歯医者がないと思っていた。なんだか泣けてきた…」

とおっしゃいました。

本気で悩んで、苦しまれていたのです。

おそらく、こういった患者さんは潜在的にたくさんいらっしゃるだろうなと思います。

なんとなく、自分の仕事はこういった
”難しい・分からないと診断された患者さん”
の駆け込み寺的なものなのかな〜なんて、最近思ったりしてます。