マイクロスコープ治療

手術用顕微鏡を用いた最大21.3倍の拡大・精密治療

マイクロスコープとは

マイクロスコープ(手術用顕微鏡)とは、最大21.3倍もの拡大視野で治療を行うことができる顕微鏡です。

人間の歯の大きさは約5〜15mm程度で、その虫歯はほんの数mm程度の大きさです。神経管に至ってはコンマ数mmの世界です。お米粒の幅が2mm程度なので、小さい虫歯の処置の難しさはおわかりいただけるかと思います。

マイクロスコープが可能にする治療

マイクロスコープが可能にする代表的な処置には以下の項目が上げられます。

感染根管治療

歯の神経治療のやり直しです。レントゲンで歯の根の先に黒い像が見られます。感染根管治療は従来は経験と想像と感に頼る治療でした。

レントゲンからある程度までの情報は得られるものの、神経管の内部は肉眼ではほとんど見えず、拡大鏡(2.5〜8倍程度の拡大眼鏡)でも奥の方は見えません。

マイクロスコープなしでも大体の症例は治療が可能です。というのも、感染源を100%除去しなくても、患者さんの感じる痛みや腫れは治まってしまうので、一応治ったように見えるからです(100%の滅菌は現実的に不可能なのですが、説明は長くなるので割愛します…)

問題は肉眼や手探りでは症状がなくなるまで感染物質を除去できない症例(いわゆる難症例)です。どうすればいいのか?マイクロスコープを用いて、感染源を直接見ながら除去するのです。

※上の矢印が未発見・未処置の神経管です。マイクロスコープで発見しました。下の矢印は治療済みの神経管ですが、感染物質が残っていて、膿が出ています。長年、歯ぐきにおできがあって膿が出ていたそうです。

歯の穿孔のリペア

歯の神経管の一部にあいてしまった穴を塞ぐ処置です。穴があく原因には、重度の虫歯や、肉眼での治療中に偶発的にあいてしまうことなどがあります。穴を塞ぐ処置は肉眼では困難です。この穴そのものが小さいことと、歯の内部の非常に狭い空間での処置になるからです。

さらに精密な封鎖が必要になりますし、きちんと封鎖できたかの確認も肉眼ではまず不可能です。また、単純に穴を材料で塞げは良い訳ではないという、知識・ノウハウ的な問題もあります。

※矢印部分に穴が開いてしまっています。本来の神経管の位置ではなく、医療事故によるものだと思われます。これを適切に封鎖しないと、症状は改善しません。

歯の神経管内で折れてしまった治療器具の除去

歯の神経管の治療ではねじった針金のような器具(リーマー、ファイルなど)を使用します。この器具は乱暴な操作や、強く湾曲した神経管への使用により折れてしまうことがあります。

折れた器具自体が悪さをする訳ではありませんが、まだ感染源の除去途中であったり、将来的に感染が起こると、たちまち難症例に発展します。

技術力と感で除去できることもありますが、そのために穿孔を起こして二次被害を生じることも少なくありません。マイクロスコープで視認しながら、超音波器具での除去が推奨されます。

肉眼では見えない神経管の発見

歯の種類によって、おおまかな神経管の数が予測できます。しかし、神経管の数も個人差があり、イレギュラーな神経管が存在することがあります。そういった神経管は小さくて見つけにくかったり、歯質に覆われて隠されていたりして、肉眼での発見が困難です。

この未発見の神経管が原因で痛みや違和感を生じている場合、マイクロスコープで解決できることがあります。

※左の矢印は通常の神経管です。右の矢印がイレギュラーな小さい神経管です。超音波器具で繊細に削って発見しました。

マイクロスコープ治療のステップ

マイクロスコープ治療は保険外治療になります。

ご希望の方は、まずお電話にて予約をお願いします。初回の診察では、診査・診断のみを行います。必要があれば応急処置(30〜60分)を行うことがあります。

基本的に治療回数は複数回が必要です。必要な通院回数・治療期間についておおまかな目安でご呈示します(断言はできませんのでご了承ください)。歯の神経管の感染物質の除去、炎症の回復を目指して清掃・洗浄を行います。

回復が見込めない場合には外科処置に移行する場合や、保存不可能の場合は抜歯を行うことがあります。

神経管内の殺菌と症状の回復を確認したら、神経管の封鎖処置と歯の形・機能を回復する為の修復処置に移ります。

マイクロスコープ治療の注意点とお約束

マイクロスコープは魔法の治療ではありません

マイクロスコープ治療は100%の成功・治癒を確約するものではありません。また、前述したように外科処置が必要になる場合もあります。

マイクロスコープによって抜歯が必要だという確定診断がなされることもあります(歯根の破折が発見されるなど)。

日本顕微鏡歯科学会所属の先生や高次医療機関(大学病院など)にてマイクロスコープ等による抜歯の診断(歯根破折等により)が出されている場合、原則として当院ではセカンドオピニオンをお受け致しかねます。診断が覆ることはほとんどありません。

治療期間が長くなることがあります

治癒に必要な期間と来院回数は大まかな目安としてお知らせします。ただし、状況によっては治療期間・回数が増えることがあります。

予約を厳守してください

治療の性質上、ドクターとアシスタントが付きっきりになります。他の患者さんの予約をお断りしての治療になります。当日キャンセルや遅刻をされた場合、その後の治療をお断りすることがあります。

保険外治療(自費治療)になります

マイクロスコープの使用には、30〜60分間ドクターとアシスタントが完全につきっきりになります。他の患者さんの予約をお断りして治療時間を確保します。また、特別な機材や歯科材料を必要とします。

マイクロスコープ治療には特別なコストと時間を当てることになりますので、原則として保険外治療としております。

保険外治療で歯内治療を行なった場合の補綴治療は保険外治療を行う必要があります。保険治療での補綴はできません。

ドクターの指示に従ってください

歯科治療についてインターネットで調べたり、患者さん自ら勉強されることは良いと思います。ただし、ネット記事や知人の話を強く信じ、思い込みが強くなってしまうと治療の妨げになることがあります。

治療方法や治療経過に患者さんが制限を設ける場合など、治療はまず困難です。ドクターは医学知識を研鑽し、マイクロスコープ技術の研修を繰り返し、治療を提供しています。

治療毎に処置中に撮影した静止画や動画で説明を行いますが、現実の状態を見てもご納得いただけないことがあります。ドクターの説明に納得いただけない場合、医学的根拠のない事柄に固執される場合、治療上必要な指示に従えない場合は治療をお断りしています。

本ページ内の記事で納得できない部分がある場合、ご予約は絶対に取られないようにお願いします。

マイクロスコープ歯内治療費用

小臼歯感染根管処置
¥102,850(税込)
大臼歯感染根管処置
¥121,000(税込)
小臼歯抜髄処置
¥90,750(税込)
大臼歯抜髄処置
¥107,800(税込)