滅菌ルームのご案内
ヨーロッパ基準の感染対策
ヨーロッパは日本よりも衛生基準が非常に厳しいです。
医院のスタッフを守るための法律や、患者さんを守る法律が頻繁に改定されているそうです。
にじの森歯科クリニックでは、新型コロナ感染症が流行する以前からこの事実を重く受け止め、医院のシステムをリニューアルする計画を立ててきました。
令和3年5月、ついに「ステリライゼーションルーム」を開設し、県内の先生方が見学に来られるまでに成長しました。
ステリライゼーションルーム
ステリライゼーションルームは、治療器具を安全に再使用できる状態にするための専用室です。
ドイツのRKI(ロベルトコッホ研究所)が提唱する空間要件を満たすよう設計しました。
写真のように色で汚染区域(赤)、洗浄区域(黄)、滅菌区域(緑)とカラーゾーニングを行いました。
作業工程は赤→黄→緑への一方通行がルールです。
清潔で余裕のある空間は、治療器具を確実に消毒処理を進めることができます。
ヨーロッパ基準を合格した機器
治療器具はヨーロッパの厳しい規格(EN13060)を合格した設備で処理されます。
まず、赤のゾーンに使用済み器具が届きます。
器具の運搬は、感染拡大しないように専用コンテナとカートを使用します。
器具は洗浄用ケースにきれいに並べられます。
器具を手洗いで処理することはありません。
こまかな治療器具は、特別に超音波洗浄機で処理します。
次に黄ゾーンの自動洗浄機(ウォッシャーディスインフェクター)「ドイツ MELAG社 メラサーム10」に投入されます。
専用の消毒液を90℃の熱水にして、高圧洗浄・消毒します(ドイツ規格DIN EN ISO15883準拠/Ao=3000)。
右のほうに治療用のハンドピース(ドリルを回す器械)が立ててありますが、これらの内部にまで洗浄消毒が行われます。
手洗い洗浄では不可能な部分にまで徹底した洗浄・消毒が行われます。
国内で廉価の類似機械が複数発売されていますが、熱水消毒の温度や時間が不足していたり、ハンドピース内部の洗浄ができなかったり、乾燥工程がないなど、ISO(EN)準拠していない製品が多く見受けれられます。
洗浄を終えた機材は、適切な滅菌パックに包装されます。
パックするシーラーも、しっかりとシールできる「ドイツ MELAG社 メラシール100+DX」を用います。
通常の業務用シーラーでは、次に紹介するクラスB滅菌機の圧力に耐えられません。
左はハンドピースに自動注油する「ドイツ KAVO社 クアトロケアプラス」です。
高品質に洗浄、パッキングされた機材は滅菌工程へ進みます。
滅菌機(オートクレーブ)はクラス分け(ヨーロッパ規格 EN13060)されており、機材に応じた滅菌機へ投入します。
左はクラスN滅菌機「日本 湯山製作所 全自動高圧蒸気滅菌機」です。
パッキングされていない、単純な構造の器材のみを滅菌します。
一般的な医科・歯科の診療所で使用されているモデルです。
クラスNは高温高圧になるだけなので、洗浄が不十分だと逆に汚れが焼き付きます。(実際に機材がだんだんと焦げて変色してきます)
またこのクラスNの滅菌機では、ハンドピース内部やパック包装物の滅菌は保障されませんので要注意です
当院では消毒用ガーゼ専用の滅菌器となっています。
右がクラスB滅菌機「ドイツ MELAG社 バキュクレーブ31+」です。
パッキングされた機材、ハンドピースなど中空で複雑な構造の機器、外科器具等あらゆる機材を高度に滅菌します。
クラスBは、工程の中で真空状態を作り出し、高温蒸気を高圧で機材内部に送り込むことで滅菌をかけます。この加圧・減圧が複数回繰り返されます。
こちらがクラスS滅菌機「ドイツ MELAG社 メラクイック12+」です。
パッキングした器材やハンドピースを短時間で高度に滅菌できます。
MELAG社の滅菌機はすべて特別な浄水器を経由して給水されており、コンピュータで自動水質監視が行われています。
スタッフへの専門知識教育
器具再生に必要な「洗浄 → 消毒 → 滅菌 → 保管」が適切に行われるようになりました。
作業を行うスタッフには繰り返し研修を行い、MELAGのセミナーも受講しています。
業務には一定年数以上の歯科医療経験者、看護師が従事しています。
機械が正しく作動していることを確認し保証する「バリデーション」も必ず行っています。
設備をつかう人間の知識・能力と、機械の正常動作は確保されなければなりません。
スタッフは専任とし、感染管理業務に集中します。
またこれまで通り、洗浄・滅菌できない器具、歯ブラシなどは使い捨てとしています。
県内屈指の感染対策を備える歯科医院となりました。
患者さんには伝わりづらい分野ですが、医療機関としてとても重要な設備環境です。
にじの森歯科クリニックは、患者さんに安全な歯科治療を提供していきます!