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同じ歯を何度も治療してまた痛い?原因の調べ方と治療の選び方

同じ歯を何度も治療してまた痛い?原因の調べ方と治療の選び方

「また同じ歯」が痛むとき、最初に確かめたいこと


治療を重ねた奥歯がまた痛み出したとき、原因として考えられるのは被せ物の境目のむし歯だけではありません。根の感染、歯のひび、噛み合わせの負担が関わることもあります。前回なぜ被せ物を作り直したのかが分からないままでは、同じ処置を繰り返してしまうこともあります。同じ処置を繰り返さないためには、まず検査で原因を絞り込むことが出発点です。


この記事では、次の内容を順に整理します。


  • 診察や画像検査で確認すること
  • 修理・再治療・抜歯の選び方
  • 熊本県で相談するときの通院回数と費用の聞き方

この記事の要点まとめ


  • 原因はむし歯の再発だけでなく、根の感染やひび、噛み合わせの負担も考えられます。
  • 問診や診察、画像検査を通じて状態を調べ、痛みの原因を絞り込みます。
  • 歯の状態に応じた治療法を相談し、通院回数・費用・治療後のケアも確認します。


同じ歯を何度も治療する原因は、被せ物の下だけとは限らない

同じ歯を何度も治療する原因は、被せ物の下だけとは限らない

「治療した歯がまた痛む」場合、原因は大きく2通りに分かれます。前回処置した部分から再発しているケースと、別の原因で新たに痛みが出ているケースです。症状の出方だけで見分けるのは難しいため、いくつかの手がかりを集めて絞り込んでいきます。


被せ物の境目やすき間から、むし歯が再発する場合


詰め物や被せ物は、長く使ううちに次のような変化が起こることがあります。


  • 接着材が劣化する
  • 表面がすり減る
  • その結果、歯との境目に小さな段差やすき間ができる

そこにプラークがたまると、内側でむし歯が進むことがあります。これを二次的なむし歯(二次カリエス)と呼びます1。金属やセラミックの下で進むため外からは見えにくく、表面に変化がないまま痛みで気づく方もいます。見た目に問題がなくても、境目の内側は検査をしないと分からない点は押さえておきましょう。


神経を治療した歯で、根の感染や歯ぐきの腫れが起こる場合


神経を取った歯では、次のような細菌が根の先に炎症を起こすことがあります2。


  • 根管内に残った細菌
  • 見つけにくい細い根管にいる細菌
  • 被せ物のすき間から再び入り込んだ細菌

根の治療をやり直しても、歯の状態によっては経過が思わしくない例が一定数報告されています3。


「奥歯の歯ぐきが腫れて、押すと痛い」という訴えは、根の病気でよくみられます。ただし、歯周病など歯を支える組織の炎症でも同じように起こります。そのため、根と歯ぐきの両方を確認します。


噛んだときの痛みは、歯のひびや噛み合わせの負担でも起こる


噛んだ瞬間にピリッと痛む場合、次のような原因が隠れていることがあります。


  • 歯のひび
  • 歯ぎしりや食いしばりによる噛み合わせの負担

どちらも「噛むと痛い」という同じ症状で現れるため、症状だけでは区別できません2。


指の骨のひびは安静にして自然に治る場合もあります。一方、歯のひびは骨と違い、自然につながることは期待しにくいものです。ひびの部位や深さによって対応も大きく変わります。ひびがどこまで達しているかを確かめることが、治療方針を決める前提になります。


また痛む歯はどう調べる?再受診から検査まで

また痛む歯はどう調べる?再受診から検査まで

痛みや腫れが続くとき、いつ歯科医院へ連絡する?


次のような状態は、次の定期検診を待たずに相談する目安です。


  • 食事のたびに同じ歯が痛む
  • 腫れが数日たっても引かない
  • 噛むと歯が浮いたような感じが続く

腫れが頬や顎に広がる、発熱がある、飲み込みにくいといった症状を伴う場合は、早めに連絡してください1。市販の痛み止めで一時的に落ち着いても、原因が解消したとは限りません。痛みが引いたかどうかではなく、繰り返している時点で受診を検討してください。


診察・レントゲン・歯科用CTでは何を確認する?


診察は、おおむね次の順で進みます。


1. 問診で、過去の治療歴と、どんなときに痛むか(噛んだとき、冷たいものを口にしたとき、何もしなくても痛むか)を伺う

2. 被せ物の適合、噛み合わせ、歯周ポケットの深さを診る

3. 必要に応じてレントゲンや歯科用CTで、根の先や骨の状態を調べる2


CTは、根の形や炎症の広がりを立体的に把握するのに役立ちます。一方で、細いひびは画像に写らないこともあります。マイクロスコープで拡大して初めて見える部分や、被せ物を外して初めて分かる情報もあります。画像検査だけでは原因を確定できない場合もあると知っておくと、説明を受けるときに戸惑いにくくなります。


歯医者に何回も通うのはなぜ?再治療との違い


通院が続く理由には、性質の異なる2つのものがあります。


  • 一連の治療としての通院:根の治療では、仮蓋をしながら根管の清掃・消毒・薬の詰め替えを数回に分けて行うことが多く、そのあと土台と被せ物の製作に進みます。これは最初から予定された通院です。
  • 治療後の再治療:治療が終わったあとに、同じ歯へもう一度処置を行うことです。必要な回数は、原因が境目のむし歯か、根の感染か、ひびかによって変わります。

治療の途中で通院の間隔が空くと、仮蓋のすき間から細菌が入りやすくなる点にも注意が必要です2。


原因が分かったら、修理・再治療・抜歯をどう選ぶ?


選べる方法は、主に次の3点によって変わります。


  • 残っている歯の量
  • ひびの位置
  • 根と歯周組織の状態

見通しは歯ごとに異なるため、一律の数字では判断できません。


被せ物の小さな不具合なら、修理で済むことはある?


境目のわずかな欠けや、ごく浅いむし歯が一部に限られている場合は、被せ物を残したまま部分的に補修できることがあります。


一方、次のような場合は、被せ物を外して中を確認し、作り直す判断になります1。


  • 内部でむし歯が広がっている
  • 被せ物が浮いている

むし歯の範囲は、外してみるまで分からないこともあります。外したあとに方針が変わる可能性を事前に聞いておくと、費用や通院回数の見通しを立てやすくなります。


根の再治療で歯を残せるかは、何で決まる?


根の先に炎症があり、根管内の感染が疑われる場合は、感染根管治療を検討します。被せ物と土台を外し、根管を清掃し直す処置です2。


歯を残せるかどうかは、次の点を総合して判断されます。


  • 健康な歯質がどれだけ残っているか
  • 根にひびがないか
  • 歯を支える骨の状態

再治療の経過を調べた研究もあります。ただし、特定の材料や方法を対象にしたものであり3、その数値が個々の歯にそのまま当てはまるわけではありません。


深いひびなどで抜歯を提案されたら、先に確認したいこと


ひびが根の深くまで達している場合などは、歯を残す処置が難しいと判断されることがあります。その際は、次の2点を確認しておきましょう。


  • なぜ残せないのかを、画像を見ながら説明してもらう
  • 抜歯後の補い方(ブリッジ、入れ歯、インプラント)について説明を受ける

インプラントを検討する場合は、骨粗しょう症の薬を使っているか4、歯ぎしりの自覚があるか5を伝えてください。どちらも、治療計画や術後の管理を考えるうえで関わる情報です。


インプラントは外科処置です。術後も定期的なメンテナンスで、周囲の歯ぐきや骨の状態を見守り続けることが前提になります。


熊本県で再治療を相談するとき、通院と費用をどう見通す?


回数・期間・保険診療の範囲は、どの段階で聞く?


費用や回数は、診断が出た段階で処置ごとに尋ねると、具体的な答えを得やすくなります。確認しておきたいのは次の3点です2。


  • 根の治療は何回かかるか
  • 被せ物の製作まで含めて、期間はどのくらいか
  • 保険診療で行う部分と、保険外になる部分はどこか

受診先では、あわせて「この歯にはどの検査が必要か」「画像を使って説明してもらえるか」も尋ねてみてください。説明に納得できないときは、別の歯科医師に意見を求めることもできます。


費用・通院回数・治療期間の目安


マイクロスコープを用いた精密根管治療は、治療内容によって自由診療(公的医療保険の適用外)となる場合があります。複数の医療機関の公開価格をみると、自由診療で行う根管治療の費用は、1本あたり前歯で5万〜15万円程度、奥歯で10万〜20万円程度が一般的な相場です。これは根の治療のみの目安で、土台や被せ物の費用は別にかかり、自由診療のセラミックの被せ物では1本10万〜20万円程度が目安とされています。


通院回数と治療期間は、一般的に根の治療で2〜4回程度、土台と被せ物の製作で2〜3回程度、全体の期間は1〜3か月程度が目安です。根の形が複雑な場合や感染の範囲が広い場合、被せ物の種類によっては、回数や期間がこれより長くなることがあります。ご自身の歯での見通しは、診断のうえで確認しておきましょう。


ここでの金額・回数・期間は一般的な相場であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や歯の状態によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。


治療に伴う主なリスク・副作用


根の治療や再治療では、次のようなことが起こる場合があります。


  • 治療後に、数日ほど噛んだときの痛みや鈍い痛みが出る
  • 歯ぐきが腫れる、押すと痛む
  • 根管内で器具が折れる、根の壁に穴があく(穿孔)
  • 治療中や治療後に、歯や根にひびが入る・割れる
  • 炎症が治まらず再発し、外科的な処置や抜歯が必要になる

どのリスクがどの程度考えられるかは歯の状態によって異なるため、処置の前に説明を受けておきましょう。


予約時に伝えておくこと


  • 痛み方
  • 腫れの有無
  • 以前の治療歴
  • 通院しやすい曜日や時間帯

あらかじめ伝えておくと、仕事やお子様の送迎との調整がしやすくなります。


治療後は被せ物の境目と噛み合わせをどう見守る?


再発予防の基本は、被せ物と歯の境目にプラークを残さないことです。日々のケアでは、次のような工夫が役立ちます。


  • 歯ブラシに加えて、フロスや歯間ブラシで境目を清掃する
  • フッ素入り歯磨き剤を使い、歯質を保護する1
  • 間食の回数を見直す

定期検診の間隔は、歯や歯周組織の状態に応じて歯科医師と相談して決めましょう2。再び痛みや違和感が出たら、次回の検診を待たずに連絡してください。


よくある質問


Q1. 銀歯の境目にできる二次カリエスを予防するには、どうすればよいですか?


A. 境目にプラークをためないことが基本です。次の3つを組み合わせると、予防につながります。


  • フロスや歯間ブラシで、境目を毎日清掃する
  • フッ素入り歯磨き剤を使う
  • だらだら食べを控える

境目のわずかな段差は自分では気づきにくいため、定期検診で確認してもらうと安心です。


Q2. 歯科医院を2か所に通うことはできますか?


A. 治療方針について別の歯科医師の意見を聞く、セカンドオピニオンは可能です。ただし、同じ歯の治療を2か所で並行して進めると、経過が分かりにくくなります。治療を受ける医院は1か所に決めましょう。これまでの治療歴や画像を共有してもらうと、相談がスムーズです。


Q3. 定期検診はどのくらいの頻度で受けるとよいですか?


A. 適した間隔は、歯や歯ぐきの状態によって異なります。たとえば、次のような場合は、より短い間隔をすすめられることがあります。


  • 被せ物が多い
  • 歯周病がある
  • 歯ぎしりがある

ご自身の歯の状態に合わせて、歯科医師と相談してください。


Q4. 根の治療の途中で、通院の間隔が空いてしまいました。どうすればよいですか?


A. 痛みがなくても、早めに歯科医院へ連絡してください。仮蓋は長期間の使用を想定していないため、すき間から細菌が入る可能性があります。再開時には状態を確認したうえで、治療を続けます。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/

3. Sabeti MA, Karimpourtalebi N, Shahravan A, et al. Clinical and Radiographic Failure of Nonsurgical Endodontic Treatment and Retreatment Using Single-cone Technique With Calcium Silicate-based Sealers: A Systematic Review and Meta-analysis. Journal of Endodontics. 2024. PMID: 38548045 / DOI: 10.1016/j.joen.2024.03.007

4. Mirza R, El Rabbany M, Ali DS, et al. Dental Implant Failure and Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw Related to Dental Implants in Patients Taking Antiresorptive Therapy for Osteoporosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Endocrine Practice. 2025. PMID: 40505730 / DOI: 10.1016/j.eprac.2025.06.003

5. Häggman-Henrikson B, Ali D, Aljamal M, et al. Bruxism and dental implants: A systematic review and meta-analysis. Journal of Oral Rehabilitation. 2024. PMID: 37589382 / DOI: 10.1111/joor.13567


丸田 忠勝

歯科医師


にじの森歯科クリニック

院長

丸田 忠勝

▶ 監修者プロフィール

経歴
・熊本県山鹿市出身。真和中学校・高校を卒業。九州大学歯学部を卒業。
・九州大学付属病院にて研修修了。歯周病治療、インプラント治療(再生歯科・インプラントセンター)、口腔外科、全身管理を中心に研修。
・九州大学付属病院歯周病科勤務。歯周病治療、歯内治療を外科処置を中心に行う。ボランティア団体「ふりーでんす福岡」に所属し、国内ボランティア検診やドイツ国際平和村にて活動。
・東京歯科大学元教授・日本顕微鏡歯科学会指導医の中川貫一先生に師事し、歯内治療およびマイクロスコープ治療を研修。
・2013年9月より、にじの森歯科クリニック開業。精密歯科治療、インプラント治療、矯正治療を中心に診療。
資格・所属学会
・日本歯周病学会
・日本口腔インプラント学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本小児歯科学会
・日本糖尿病協会 登録歯科医
・Pacific Endodontic Research Foundation Japan 熊本・福岡
・日本歯科医師会
・熊本県歯科医師会
・菊池郡市歯科医師会 公衆衛生理事
・熊本県歯科医師スタディグループ新樹会 第45代議長
・菊陽町嘱託歯科医師
・武蔵ヶ丘北小学校学校歯科医師