|菊陽町でマイクロスコープを使ったむし歯・根管治療をするなら|にじの森歯科クリニック

精密マイクロスコープ治療の豆知識 BLOG

根管治療の再発で再治療を検討するときの歯を残せる条件と費用の違い

根管治療の再発で再治療を検討するときの歯を残せる条件と費用の違い

数年前に治療した奥歯が再び痛むとき、まず整理したい判断の基準


数年前に根の治療を終えた奥歯が、また噛むと痛んだり歯ぐきが腫れたりしたとき、歯を残せるかどうかは根のひびや残っている歯の量、病気の広がりによって決まります。再治療には、根の中をきれいにし直す再根管治療と、根の先を手術で取りのぞく歯根端切除術があり、残すのが難しいときは歯をぬいたあとの治療も含めて考えます。この記事では、歯科用CTやマイクロスコープでわかることと、保険診療・自由診療の費用のしくみや通院回数のちがいをまとめ、ご家族と納得して治療を話し合うための材料をお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 根のひびや残っている歯の量、病変の広がりを調べ、歯を残せるかどうかや治療の進め方を考えます。
  • CTやマイクロスコープは診断の手がかりになりますが、ひびが見つけにくい場合もあります。
  • 再根管治療、歯根端切除術、抜歯後の処置で費用や通院期間が変わるため、総額と計画を前もって相談しましょう。


根管治療後に痛みや腫れが再発したとき、歯を残せる条件と難しい条件

根管治療後に痛みや腫れが再発したとき、歯を残せる条件と難しい条件

根管治療のあとに痛みや腫れがまた出てきても、原因が根の中の細菌で、土台を支えられるだけの歯が残っていれば、再治療で歯を残せることがあります。一方で、歯の根が縦に割れているときや、歯を支える歯ぐきや骨のこわれ方が大きいときは、残すのが難しくなります。そのため、まずはくわしく調べて、原因と歯の状態を見きわめることから始まります。


再発は前回の治療の失敗だけが原因ではありません


一度治療した歯が再び痛むと、前回の処置に問題があったのではないかと疑問を抱く患者さまも少なくありません。しかし、根管の形状は木の根のように一人ひとり異なり、細かく枝分かれした部分には器具が届きにくいことがあります。また、見つけにくい根管が未処置のまま残ったり、根管の壁に張り付いた細菌の塊(細菌が作る膜状の構造)が、時間をかけて再び活動し始めたりすることもあります。


また、治療から数年が経過するうちに、被せ物のわずかなすき間から唾液中の細菌が入り込むコロナルリーケージ(上部からの再感染)が起こるケースも珍しくありません。さらに、日常的な食いしばりや歯ぎしりによる咬合力(噛む力)の蓄積で、神経を失った歯にクラック(細かいひび)や歯根破折が生じることもあります。このように再発の背景には時間経過に伴う複数の要因が絡み合っているため、何が原因で症状が出ているのかを分けて調べることが次の治療方針を決める土台になります。


歯科用CTとマイクロスコープで確認できること・判断が難しいこと


原因を調べる際は、勘や経験だけに頼るのではなく、患部を視覚的に確認して判断する工程が求められます。平面のレントゲンでは重なって見えにくい部分も、歯科用CTを用いれば、根の数や複雑な曲がり方、根の先に起きている根尖性歯周炎(根の先の炎症)の広がりを3次元の立体画像として把握できます。


さらにマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を併用することで、暗く狭い根管の内部を明るく照らし、視野を拡大して観察できます。見える範囲にある未処置根管や残った充填材、歯質の亀裂などは直接確かめられますが、細菌に感染しているかどうかを見た目だけで判断することはできません。こうした視覚化や器具の進歩は、非外科的な再根管治療の管理を支えています 。


ただし、マイクロスコープや歯科用CTがあればすべての問題がその場で解決するわけではありません。ごく細い初期のひびはCT画像に写りにくく、実際に被せ物や土台を外してマイクロスコープで内部を覗いてみて初めて破折が見つかる場合もあります。精密機器はあくまで治療前の判断材料を増やし、見落としを減らすための道具として位置づけられます。


再根管治療・歯根端切除術・抜歯を分ける具体的な判断基準


検査の結果を踏まえ、どの処置を選ぶかは歯の残存状態によって段階的に判断します 12。


検討される処置選択される主な条件処置の概要と限界
再根管治療歯根破折がなく、被せ物を支える歯質が残り、根管内から感染源へ到達できる場合被せ物と土台を外し、根管内の古い充填材や細菌を清掃・消毒して再封鎖する 2
歯根端切除術再根管治療で治癒が見られない場合や、太く長い土台の除去で歯が割れる懸念がある場合歯ぐきを切開し、根の先端と周囲の病変を外科的に取り除き、根の先を逆方向から封鎖する 2
抜歯縦方向の歯根破折、歯周組織の大きな破壊、または残存歯質が著しく不足している場合保存処置では感染の除去や噛む力の維持が見込めないため、抜歯後に周囲の歯を含めた機能回復を図る

非外科的な再根管治療と外科的な歯根端切除術では、2〜4年時点の治癒傾向に違いが見られます 12。ただし長期の経過では、どちらか一方が常に優れるとはいえません 12。再治療に「何回まで」という一律の回数制限があるわけではなく、処置のたびに歯質が削られて薄くなるため、現在の歯に土台と被せ物を維持できるだけの厚みと強度が残っているかが実質的な判断基準となります。


様子を見られる症状と早めの受診が必要な症状の目安


根管治療や再治療の直後には、器具や薬剤の刺激によって、しばらく噛んだときに軽い違和感が出ることがあります。痛みが日ごとに和らいでいる場合は、次の予約日まで経過を見守れるケースが多いです。


しかし、以前治療した奥歯の歯ぐきが腫れて指で押すと痛い場合は、根の先で炎症が再燃しているサインと考えられます。歯が浮くような感覚(噛み合わせたときにその歯だけ少し持ち上がって先に当たるように感じる状態)が続く・強まる場合も同じです。また、歯ぐきに白い膨らみ(膿の出口であるフィステル)ができたり、何もしなくてもズキズキと痛む自発痛が出たりすることもあります。


特に頬や顎の下まで腫れが広がっている場合や、熱が出たり飲み込むと痛んだりする場合は、感染があごの骨から周りの組織へ広がっているおそれがあるため早めの受診が必要です 。仕事や家庭の予定で受診を先延ばしにすると、根の周囲の骨が溶ける範囲が広がり、本来なら残せたはずの条件が狭まってしまうことがあるため注意しましょう。


ポイント

再発の原因が根の中の細菌であれば、根の中をもう一度きれいにする治療や、根の先を取りのぞく手術で歯を残せることがあります。ただし、根が縦に割れているときは、歯をぬく方法も考えます 。


再治療・歯根端切除術・抜歯後の処置で変わる費用総額と通院回数

再治療・歯根端切除術・抜歯後の処置で変わる費用総額と通院回数

再治療を検討する際は、根管治療そのものの費用だけで判断しないことが大切です。その後に必要となる土台(コア)や被せ物(クラウン)の作り直し、あるいは抜歯になった場合の抜歯後に歯を補う治療まで含めて、総額と通院期間を把握しておきましょう。


保険診療と自由診療で費用が変わる仕組みと内訳の項目


根管治療をやり直すときの費用は、いくつかの項目でできています。はじめの診察や2回目以降の診察の料金、レントゲンや歯科用CTなどの画像の検査、古い被せ物と土台を外す処置、根の中をきれいにし直す処置、最後の土台と被せ物をつくる費用です。


公的医療保険が使える保険診療では、国が決めた材料や手順にそって処置が進みます。自己負担額は、負担の割合や歯の種類、どんな検査を受けるか、土台と被せ物まで含めるかによって幅があります。保険で使える材料や薬には決まりがありますが、1回の診療時間は保険で一律に決まっているものではなく、医療機関ごとに設定されています。


一方、自由診療(公的医療保険が使えない診療)の精密根管治療では、医療機関や歯の状態によって、1回の処置に時間をかけて感染源の除去と封鎖を行う進め方がとられることがあります。マイクロスコープや歯科用CT、ラバーダム防湿(治療する歯をゴム製シートで囲み、唾液中の細菌が入るのを防ぐ方法)、封鎖性の高いMTAセメントなどが使われます。これらの機器や方法は、条件や医療機関によっては保険診療でも使われることがあります。


自由診療の再根管治療の費用は、歯の種類(前歯・小臼歯・大臼歯)や、その後に入れる土台とセラミック等の被せ物の種類によって変わります。また、同じ歯の一連の治療で保険診療と自由診療を組み合わせることは制度上かぎられるため、根管治療を自由診療で受けた歯は、詰め物や被せ物も自由診療で選ぶ医療機関が多くあります。被せ物のすき間の少なさは素材や保険かどうかだけでは決まらず、つくり方や歯の状態にも左右されます。


※実際の費用は歯の状態や医療機関により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内いたします。


再根管治療・歯根端切除術・抜歯後の処置で異なる通院回数と期間


どの治療方針をとるかによって、治療完了までの通院回数や家計への影響は変わってきます。再根管治療では、根管内の清掃・消毒・根管封鎖の工程に加え、土台の築造と被せ物の型取り・装着が必要となります。


保険診療では、処置を複数回に分けて行うことが多くあります。自由診療の精密根管治療では、1回あたりの時間を長めに確保して処置の密度を高め、根管治療自体の通院回数を抑える進め方もとられます。なお、治療の途中は仮の蓋で閉じた状態が続くため、計画通りに日程を確保して次の工程へ進むことが大切です。


再根管治療だけでよくならず歯根端切除術を行うときは、手術の日に加えて、消毒や糸をぬくための通院と、骨の治りぐあいを見るための通院が増えます。もし歯を残すのが難しく抜歯になったときは、歯をぬいたあとに歯を補う治療へ進みます。


歯を補う方法には、両隣の歯を削って支えにするブリッジ、取り外し式の入れ歯、顎の骨に人工歯根を埋め込むインプラントがあります。どれを選ぶかで、歯をぬいてから新しい歯が入るまでの期間は大きくちがい、インプラントなどの手術のあとは続けてメンテナンスも必要になります。(※当院の費用は診察のうえでご案内します。)


治療の途中で保存が難しいと分かったときの費用と方針の扱い


再治療を始める前にご家族と共有しておきたいのが、治療の途中で方針が変わる可能性についてです。事前の歯科用CT検査では、明らかな破折が見られないこともあります。それでも、被せ物や金属の土台を外してマイクロスコープで内部を確認した段階で、根の深い位置まで達する歯根破折が見つかり、保存が難しいと判明することがあります。


こうしたケースに備え、治療を開始する前の段階で以下の項目を確認しておくと、想定外の出費や日程の変更による戸惑いを減らすことができます。


  • 土台を外した時点で抜歯と判断された場合、そこまでの検査・処置費用の扱いはどうなるか
  • 再根管治療の後に歯根端切除術へ切り替える場合、追加の費用や通院回数はどの程度見込まれるか
  • 治療途中の仮歯や仮の詰め物の期間中、食事や仕事に支障が出ないようどのような配慮があるか
  • 仮の詰め物が外れたり強い痛みが出たりした際、急な対応を相談できるか

セカンドオピニオンや事前のカウンセリングでは、これらの疑問点を遠慮なく質問し、見通しに納得したうえで着手することをおすすめします。


歯科医療機関に相談するときの一般的な流れと通院計画の立て方


仕事やお子様の送迎と両立しながら再治療を検討する際は、初回の相談で治療方針を即決せず、まずは歯科医療機関で現在の歯の状態を詳しく調べることから始められます。一般的な歯科診療では、初回の受診時にレントゲン撮影や口腔内の写真撮影などの検査を行います。その後の診察で画像データなどを確認しながら、現在の状態と選べる治療案を整理し、歯科医師から説明を受けるという段階的な進め方がとられます。


治療方針を検討する際は、保険診療で行える処置と自由診療による精密な処置の両方の選択肢、およびそれぞれの費用や通院回数の目安を確認し、一度資料を持ち帰ってご家族と相談してから方針を決めることができます。また、1回の処置時間を長めに確保して集中的に進める診療スタイルの歯科医療機関もあります。そうした医療機関であれば、月末の繁忙期やご家庭の予定を避けて予約枠を調整するなど、生活リズムに組み込める通院計画を事前に相談することも可能です。


なお、歯根端切除術のような外科処置のあとには、何もしなくても出る痛みや噛んだときの痛み、腫れ、出血、皮膚の下の内出血が起こることがあります 3。過去の治療経過やいつ頃からどのような症状があるかをメモして歯科医療機関を受診し、大切な歯をどう残せるか歯科医師と一緒に考えていきましょう。


ポイント

根管治療の費用や通院回数は、土台・被せ物の作り直しや途中での方針変更の可能性も含めて事前に確認し、ご家庭の予定に合う計画を立てておきましょう。


よくある質問


Q. 根管治療の再治療は何回までできますか?


A. 何回までというはっきりした上限はありませんが、再治療のたびに感染した部分を削るため、歯の根の壁がうすくなります。土台や被せ物を支えられるだけの歯が残っておらず、噛む力で根が割れるおそれが高いと判断されたときは、再根管治療ではなく抜歯などの方法も考えます。


Q. 根管治療は2回目になると痛みが強くなりますか?


A. 2回目の治療では、通常は歯の神経がすでに取り除かれています。ただし、治療されていない根管や神経の一部が残っていたり、根の周りに炎症があったりすると、処置中に痛むことがあります。また、根の先に膿がたまっている場合は麻酔が効きにくいことや、根管内を清掃した刺激で治療後しばらく噛んだときの痛みや歯が浮くような違和感が出ることがあります。


Q. 痛みが落ち着いていれば、2回目の再根管治療は受けなくても大丈夫ですか?


A. 痛みが一時的に引いていても、根の中の細菌や根の先の病変が残っている場合があります。一方で、治療後に治っていく途中だったり、画像上の影が長く残ったりしていることもあり、すべてが進行中の感染とは限りません 。症状に加えて、画像の時間ごとの変化や過去の治療の状況から再治療が必要かを判断するため、歯科医師の診察を受けることが大切です。


Q. 根管治療は1回の通院で終わることもありますか?


A. 根の中の清掃から封鎖までを、1回の通院で終えられることもあります。感染の範囲がかぎられていて、1回の診療時間を長めにとれる場合などです。ただし、根の形や膿が出ているかどうか、炎症の程度によって回数は変わり、再治療では古い土台や詰め物を取りのぞくのに時間がかかるため、何回か通うこともあります。


また、根の中の処置が1回で終わっても、そのあとの土台や被せ物をつくるために別に通院が必要になることがあります。


参考文献


1. Torabinejad M, Corr R, Handysides R et al. Outcomes of nonsurgical retreatment and endodontic surgery: a systematic review. Journal of endodontics. 2009. PMID: 19567310 / DOI: 10.1016/j.joen.2009.04.023

2. Del Fabbro M, Corbella S, Sequeira-Byron P et al. Endodontic procedures for retreatment of periapical lesions. The Cochrane database of systematic reviews. 2016. PMID: 27759881 / DOI: 10.1002/14651858.CD005511.pub3

3. 自由診療に関わる治療リスクと副作用について | 神奈川歯科大学附属横浜クリニック 横浜駅西口徒歩5分 歯科・矯正歯科・医科診療. https://www.hama.kdu.ac.jp/department/dental/adult/adult_002.html


丸田 忠勝

歯科医師


にじの森歯科クリニック

院長

丸田 忠勝

▶ 監修者プロフィール

経歴
・熊本県山鹿市出身。真和中学校・高校を卒業。九州大学歯学部を卒業。
・九州大学付属病院にて研修修了。歯周病治療、インプラント治療(再生歯科・インプラントセンター)、口腔外科、全身管理を中心に研修。
・九州大学付属病院歯周病科勤務。歯周病治療、歯内治療を外科処置を中心に行う。ボランティア団体「ふりーでんす福岡」に所属し、国内ボランティア検診やドイツ国際平和村にて活動。
・東京歯科大学元教授・日本顕微鏡歯科学会指導医の中川貫一先生に師事し、歯内治療およびマイクロスコープ治療を研修。
・2013年9月より、にじの森歯科クリニック開業。精密歯科治療、インプラント治療、矯正治療を中心に診療。
資格・所属学会
・日本歯周病学会
・日本口腔インプラント学会
・日本顕微鏡歯科学会
・日本小児歯科学会
・日本糖尿病協会 登録歯科医
・Pacific Endodontic Research Foundation Japan 熊本・福岡
・日本歯科医師会
・熊本県歯科医師会
・菊池郡市歯科医師会 公衆衛生理事
・熊本県歯科医師スタディグループ新樹会 第45代議長
・菊陽町嘱託歯科医師
・武蔵ヶ丘北小学校学校歯科医師